クミコ、最新シングルは“銀巴里から生まれた歌” 金子由香利&美輪明宏の名曲をカバー

歌手のクミコ(68)が、シングル「時は過ぎてゆく/ヨイトマケの唄」を7月12日に発売する。シャンソンの老舗・銀座「銀巴里」から生まれた歌をテーマに、表題の2曲をはじめとした全6曲が収録される。
【写真】銀巴里から生まれた名曲たちをカバーするクミコ
「時は過ぎてゆく」は、フランスのシャンソン歌手ジョルジュ・ムスタキが作詞作曲し、古賀力が日本語詞をつけ、金子由香利が歌った楽曲。倉本聰初監督作品の映画『時計』(1986年公開)の主題歌に起用されたことでも知られている。
「ヨイトマケの唄」は、クミコが“銀巴里の大先輩”としてリスペクトする美輪明宏のオリジナル曲。クミコは本楽曲を「昭和から今にいたる日本のドキュメンタリー」と位置づけ、「どうしても自分で歌い継ぎたい」と決意したという。
今作のプロデューサーは、出版・映像・文化イベントなどを手がける残間里江子氏。クミコと残間氏は、「高橋久美子」から「クミコ」に改名をして再デビューをした2000年頃から、トークイベントやメディア対談などで交流を深めており、クミコの「あの奇跡の時代を知っている、いえ、作り手として、さまざまなことを教えていただきたい」という思いから今回のタッグが実現した。
クミコは同作を引っ提げ、11月24~25日の2日間にわたって、銀巴里が居を構えていた銀座に昨年オープンした劇場・I'M A SHOWでコンサートを行う。
■クミコ コメント全文
新しいCDについて。
前回の「愛しかない時」に続き、今回もまたシャンソンに関係する歌を選びました。どちらも私の育った伝説のシャンソン喫茶「銀巴里」の大先輩お2人の歌です。
1つは「時は過ぎていく」。
金子由香利さんの歌で、ムスタキの作品に、これまた大先輩の古賀力さんの日本語詞。
金子さんはシャンソン歌手として1987年に紅白歌合戦にも出場されていますが、そのブレイクのきっかけが山口百恵さんだったことは有名です。
そのキーパーソンが、今はプロデューサーとして活躍されている残間里江子さん。引退を控えた百恵さんの直筆の自伝「蒼い時」発刊の仕掛け人でもあり、百恵さんと金子さんをつなげた人物でもあります。
百恵さんは金子さんの内省的なシャンソンに涙し、それが世に知られテレビにも登場。ここから一気に金子さんは時の人になります。
私も、永六輔さん司会のテレビ番組で金子さんの歌を聴き、ショックを受けました。
それまで越路吹雪的シャンソンしか知らなかったので、ベクトルが真逆の金子さんの歌に驚き、そこで初めてシャンソンの奥深さを知ることにもなりました。
今思えば、こんなミラクルがあったのが、まさに昭和でした。
シャンソンというサブカルチャーとでもいえそうなジャンルから、中年女性の歌い手が颯爽と登場して来られた時代。
それを受け入れ感動する人たちもたくさんいた時代。
シャンソンが大手を振って歩いていた輝かしい時代。
それが昭和でした。
ちなみに、昭和は女性がだんだんと力を持とうとした時代でもありました。
残間里江子さんは、女性編集長としても采配をふるい、それはそれまでの男社会ヒエラルキーとの闘いでもありました。
女性ならではの視点でのプロデュース力は金子さんのコンサートでも発揮され、渋谷パルコでのコンサートは「公園通りのシャンソニエ」という魅惑的な名で憧れの的になりました。
まさに「時は過ぎていく」です。
今の音楽界には、シャンソン的なものが受け入れられる余地はそれほどないでしょう。
けれど、私はそんなに悲観していません。
歳を重ねるほどに味わい深くなる音楽が、そうやすやすと消えるはずはないと思うからです。
若さを武器に闘ってきた私たち世代は、昭和平成令和と時を超え、どんどんしたたかになってきました。
生きるということに、したたかに柔らかく、そして知恵を持ってきました。
そして、言葉に自分の生き方をこめられる歌を捨てたりはしません。
そんなもったいないこと、誰がするものですか。
で。もう一つ「ヨイトマケの唄」。
言わずと知れた美輪明宏さんのオリジナル曲です。
美輪さんは、多くのシャンソンを歌われていますが、私はこれこそが最高のシャンソンだと思います。最高の日本産のシャンソン。
シャンソンは、愛の歌といっていいと思いますが、そこには男女だけでなく親子も人類愛も含まれます。
愛はそれほど深く広く、汲めども尽きない泉なのだということでしょう。
「ヨイトマケの唄」を歌うことに初めは躊躇しました。
昭和初期の空気が立ち昇り、ある種ベタでもある母子の歌に、足を踏み入れる勇気がなかったのです。
ところが、いざ歌ってみると。
そこには甘ったるい感傷などこれっぽっちもありませんでした。
ただただひたすら時代の中を生きようとし、生きてきた人間しか浮かび上がりません。
驚いたことに、私自身の昭和の記憶、家族の記憶までが蘇ってきます。
油臭い街や泥跳ね、黒くくすんだ工場や煙突、そこで働く人たち。
それは私の父親や母親でもありました。
ああ、この歌はドキュメンタリーなのだと思いました。
昭和から今にいたる日本のドキュメンタリー。
母子ものの体裁ではあるけれど、それだけではない、これは生きとし生ける人間の歌なのだと。
「時は過ぎていく」と「ヨイトマケの唄」。
今回も歌の道を行く、偉大な先人たちの曲を選びました。
そして今回はプロデューサーとして、残間里江子さんをお迎えしました。
あの奇跡の時代を知っている、いえ、作り手として、さまざまなことを教えていただきたいと思っています。
そこから時代の熱、時代を照らす光を、再び胸に熱く灯したいと願っています。
それが、これからの道に迷い、心細さに泣かずにすむ唯一の方法だと思います。
■「時は過ぎてゆく/ヨイトマケの唄」収録曲
01. 時は過ぎてゆく IL EST TROP TARD
02. ヨイトマケの唄
03. わが麗しき恋物語 Ma Plus Belle Histoire d’Amour(Live Recording)
04. 幽霊 Le Revenant(Live Recording)
05. 時は過ぎてゆく IL EST TROP TARD(instrumental)
06. ヨイトマケの唄(instrumental)
■『クミココンサート2023 わが麗しき歌物語Vol 6~銀巴里で生まれた歌たち…時は過ぎてゆく~』日程
11月24日(金) 東京・有楽町I'M A SHOW(ゲスト:長谷川きよし)
11月25日(土) 東京・有楽町I'M A SHOW(ゲスト:瀬間千恵)
【写真】銀巴里から生まれた名曲たちをカバーするクミコ
「時は過ぎてゆく」は、フランスのシャンソン歌手ジョルジュ・ムスタキが作詞作曲し、古賀力が日本語詞をつけ、金子由香利が歌った楽曲。倉本聰初監督作品の映画『時計』(1986年公開)の主題歌に起用されたことでも知られている。
「ヨイトマケの唄」は、クミコが“銀巴里の大先輩”としてリスペクトする美輪明宏のオリジナル曲。クミコは本楽曲を「昭和から今にいたる日本のドキュメンタリー」と位置づけ、「どうしても自分で歌い継ぎたい」と決意したという。
今作のプロデューサーは、出版・映像・文化イベントなどを手がける残間里江子氏。クミコと残間氏は、「高橋久美子」から「クミコ」に改名をして再デビューをした2000年頃から、トークイベントやメディア対談などで交流を深めており、クミコの「あの奇跡の時代を知っている、いえ、作り手として、さまざまなことを教えていただきたい」という思いから今回のタッグが実現した。
クミコは同作を引っ提げ、11月24~25日の2日間にわたって、銀巴里が居を構えていた銀座に昨年オープンした劇場・I'M A SHOWでコンサートを行う。
■クミコ コメント全文
新しいCDについて。
前回の「愛しかない時」に続き、今回もまたシャンソンに関係する歌を選びました。どちらも私の育った伝説のシャンソン喫茶「銀巴里」の大先輩お2人の歌です。
1つは「時は過ぎていく」。
金子由香利さんの歌で、ムスタキの作品に、これまた大先輩の古賀力さんの日本語詞。
金子さんはシャンソン歌手として1987年に紅白歌合戦にも出場されていますが、そのブレイクのきっかけが山口百恵さんだったことは有名です。
そのキーパーソンが、今はプロデューサーとして活躍されている残間里江子さん。引退を控えた百恵さんの直筆の自伝「蒼い時」発刊の仕掛け人でもあり、百恵さんと金子さんをつなげた人物でもあります。
百恵さんは金子さんの内省的なシャンソンに涙し、それが世に知られテレビにも登場。ここから一気に金子さんは時の人になります。
私も、永六輔さん司会のテレビ番組で金子さんの歌を聴き、ショックを受けました。
それまで越路吹雪的シャンソンしか知らなかったので、ベクトルが真逆の金子さんの歌に驚き、そこで初めてシャンソンの奥深さを知ることにもなりました。
今思えば、こんなミラクルがあったのが、まさに昭和でした。
シャンソンというサブカルチャーとでもいえそうなジャンルから、中年女性の歌い手が颯爽と登場して来られた時代。
それを受け入れ感動する人たちもたくさんいた時代。
シャンソンが大手を振って歩いていた輝かしい時代。
それが昭和でした。
ちなみに、昭和は女性がだんだんと力を持とうとした時代でもありました。
残間里江子さんは、女性編集長としても采配をふるい、それはそれまでの男社会ヒエラルキーとの闘いでもありました。
女性ならではの視点でのプロデュース力は金子さんのコンサートでも発揮され、渋谷パルコでのコンサートは「公園通りのシャンソニエ」という魅惑的な名で憧れの的になりました。
まさに「時は過ぎていく」です。
今の音楽界には、シャンソン的なものが受け入れられる余地はそれほどないでしょう。
けれど、私はそんなに悲観していません。
歳を重ねるほどに味わい深くなる音楽が、そうやすやすと消えるはずはないと思うからです。
若さを武器に闘ってきた私たち世代は、昭和平成令和と時を超え、どんどんしたたかになってきました。
生きるということに、したたかに柔らかく、そして知恵を持ってきました。
そして、言葉に自分の生き方をこめられる歌を捨てたりはしません。
そんなもったいないこと、誰がするものですか。
で。もう一つ「ヨイトマケの唄」。
言わずと知れた美輪明宏さんのオリジナル曲です。
美輪さんは、多くのシャンソンを歌われていますが、私はこれこそが最高のシャンソンだと思います。最高の日本産のシャンソン。
シャンソンは、愛の歌といっていいと思いますが、そこには男女だけでなく親子も人類愛も含まれます。
愛はそれほど深く広く、汲めども尽きない泉なのだということでしょう。
「ヨイトマケの唄」を歌うことに初めは躊躇しました。
昭和初期の空気が立ち昇り、ある種ベタでもある母子の歌に、足を踏み入れる勇気がなかったのです。
ところが、いざ歌ってみると。
そこには甘ったるい感傷などこれっぽっちもありませんでした。
ただただひたすら時代の中を生きようとし、生きてきた人間しか浮かび上がりません。
驚いたことに、私自身の昭和の記憶、家族の記憶までが蘇ってきます。
油臭い街や泥跳ね、黒くくすんだ工場や煙突、そこで働く人たち。
それは私の父親や母親でもありました。
ああ、この歌はドキュメンタリーなのだと思いました。
昭和から今にいたる日本のドキュメンタリー。
母子ものの体裁ではあるけれど、それだけではない、これは生きとし生ける人間の歌なのだと。
「時は過ぎていく」と「ヨイトマケの唄」。
今回も歌の道を行く、偉大な先人たちの曲を選びました。
そして今回はプロデューサーとして、残間里江子さんをお迎えしました。
あの奇跡の時代を知っている、いえ、作り手として、さまざまなことを教えていただきたいと思っています。
そこから時代の熱、時代を照らす光を、再び胸に熱く灯したいと願っています。
それが、これからの道に迷い、心細さに泣かずにすむ唯一の方法だと思います。
■「時は過ぎてゆく/ヨイトマケの唄」収録曲
01. 時は過ぎてゆく IL EST TROP TARD
02. ヨイトマケの唄
03. わが麗しき恋物語 Ma Plus Belle Histoire d’Amour(Live Recording)
04. 幽霊 Le Revenant(Live Recording)
05. 時は過ぎてゆく IL EST TROP TARD(instrumental)
06. ヨイトマケの唄(instrumental)
■『クミココンサート2023 わが麗しき歌物語Vol 6~銀巴里で生まれた歌たち…時は過ぎてゆく~』日程
11月24日(金) 東京・有楽町I'M A SHOW(ゲスト:長谷川きよし)
11月25日(土) 東京・有楽町I'M A SHOW(ゲスト:瀬間千恵)
公開:2023-06-08 17:00
更新:2023-06-08 17:00
- 【画像】仲睦まじそうにトークする(左から)クミコ、阿川佐和子
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