映画『返校』ジョン・スー監督「台湾のゲームの映画化を楽しんで」

映画『返校 言葉が消えた日』(公開中)ジョン・スー監督
 2017年に発売された台湾の大ヒットホラー・ゲーム「返校 -Detention-」をもとに、迫害事件の謎解きと、自由と青春を奪われた若者たちの切ないドラマを交錯させたダークミステリー映画『返校 言葉が消えた日』が本日(30日)より劇場公開。映画のジョン・スー監督と、「返校 -Detention-」のゲーム・プロデューサー、ヤオ・シュンティンのオフィシャルインタビューを紹介する。

【動画】映画『返校』原作ゲームとのコラボ映像

 ゲーム「返校 -Detention-」は、台湾で発売されてすぐに大きな話題となり、映画会社やテレビ会社から「映画化したい」「シリーズ化したい」という声が寄せられたという。ゲームの大ヒットしたことについてヤオプロデューサーは「本当に驚きました。ゲーム発売後の週末、台湾では多くのゲーム実況者が登場して、web上のコミュニティで話題になりました。その後テレビで広まり、数週間にわたってさまざまなメディアのインタビューを受けたのです」と、当時の反響の大きさを振り返る。

 ジョン・スー監督も、「その日中に私はゲームをクリアして、そのメランコリックで美しいストーリーに強く心を動かされました。その後、いかにそれが素晴らしいか、誰かがすぐにそれを映画化した方がよい、と私は映画業界の知り合いに会うたびに話していました。そして幸運にも私は愛するゲームの監督として起用されたのです」と、本作の監督になった経緯について、自ら手に入れた幸運な出会いだったことを明かしている。

 しかし、ゲームを映画化した初の台湾映画となった『返校 言葉が消えた日』には乗り越えるべき問題も多くあった。キャスティングについて、ヤオプロデューサーは「オリジナルキャラクターと違いが出すぎないように」リクエストをしたといい、ゲームのメインキャラクターのファン・レイシン役は、ブリジット・リンのような浮世離れした女性を見つけて欲しいと願っていたという。そんな要望に監督はほぼ一年を費やしてワン・ジンを発掘する。「年齢にそぐわないほど早熟で複雑な精神を持っていた」というゲームのキャラクターにそっくりな彼女を見て、ヤオプロデューサーも納得したという。

 また、原作者として一番大事にしてほしかったことについて、「ゲームの中心となる精神を守りたかった」ヤオプロデューサーは、「大事なキーワードは“自由”です。今の台湾は解放されていて自由ですが、戒厳令の時代は言いたいことが言えず自由を求める人は罪となりました。過去をよく知ることは将来を知ることです。なので、映画でもこの“自由”というキーワードを大事にしたいと思いました」と、ストーリーや表現について監督と繰り返し議論したと明かす。

 ジョン・スー監督も「ゲームの映画化で最も見たくないものは、原作の精神に忠実でないもの」と言い切っており、「製作過程で、製作チームのほぼ全員が原作ゲームに情熱を注いでおり、ゲームをプレイした後に感じた感情を再現するため懸命に取り組んでいた」と、映画製作現場がゲームに対して「極めて稀な」ほど、思い入れがあったことを明かし、その結果が映画の大ヒットをであり、台湾のアカデミー賞と言われる「金馬奨」の受賞であると確信している。

 日本での公開に向けて監督は「『返校』の中には多くの“初めて”が存在します。私の初めての長編映画であり、ゲームを映画化した初の台湾映画であり、白色テロの時代について描いた台湾映画で初めて大ヒットを記録しました。加えて、日本で劇場公開される初めての私の作品になります」と、“初めてづくし”をアピール。

 さらに、「日本にもゲーム版のファンがたくさんいると聞いています。日本のポップカルチャーで育った者として、この作品について皆さんがどう感じるのか、大変興味があります。このゲームをプレイしたことがあるかどうかに関わらず、すばらしい台湾のゲームの映画化を、皆さんに楽しんでいただきたいと願っています。そして、冷戦時代に台湾人が何を経験したかを垣間見ていただくことができれば幸いです。そして映画を見た後にゲームを再度プレイし、私たちが映画の中に隠したイースターエッグを見つけてみてください」と、呼びかけた。

 ゲームと映画という異なるコンテンツを生み出す2人が、影響を受けたものの中に日本のサイコホラーゲーム、「サイレントヒル」シリーズがあるという。ヤオは「私のバイブルです」と位置づけ、監督は「サイレントヒル2」の映画化を手掛けたいという淡い希望を持っていたことも明かしていた。
公開:2021-07-30 12:45
更新:2021-07-30 12:45
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