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第20回県議選は3日間の運動期間を残すのみとなった。選挙戦に突入した8選挙区は、41人が30議席を巡り懸命の訴えを続けている。各選挙区の終盤情勢を詳報する。(敬称略)
【山形市区(定数9―10)】遠藤、トップうかがう
現職6人と新人4人の10人がひしめく少数激戦となっている。トップ当選を重ね今回は出馬しない大内理加と、勇退する金沢忠一の自民票を、各候補が奪い合う。その中、後援組織や支持基盤が強固な現職勢が堅実な戦いを進めている。
再選を狙う自民現職の遠藤和典が抜け出した。ともに現職で無所属の吉村和武、立民の高橋啓介が追走する。
遠藤は千歳地区を押さえ、大内が持っていた市北部の自民票を取り込む。企業の後押しも強く、前回から票を伸ばす勢い。事務所を構えた宮町などでも浸透を図る。他陣営からの切り崩しに警戒を強めている。
吉村は新たに企業後援会を立ち上げるなど、経済界への働きかけを一層強めている。いずれも政党公認の他陣営の動向を注視しつつ、市内全域で個人演説会を連日開催するなど、支持拡大に余念がない。
高橋は地元南沼原地区の支持固めを徹底し、市南西部を中心に運動を重ねる。他陣営をけん制しながら、勇退票の取り込みも狙う。支援労組の動きは堅調で、組織の引き締めを図り、票の上積みを目指す。
続くグループは大混戦。自民現職の奥山誠治に勢いがあり上位入りをうかがう。公明現職の菊池文昭、立民新人の松井愛、自民新人の伊藤香織、本選初挑戦の国民現職の梅津庸成が激しく競り合う。
地元からの新人出馬を警戒していた奥山は、手堅く山形十小学区を固めた。さらに勇退票による上積みを狙う。金沢の地盤だった市南西部で地元市議と連動した動きを見せ、一定の支持を集めそうだ。
菊池は党所属市議らと連動し支持層を固める。支持母体の創価学会を中心に陣営の動きは活発だが、緩みによる取りこぼしを警戒している。副代表ら党国会議員も連日県内入りし、実績をアピールしている。
前市議の松井は、NPO活動などで培った人脈を生かし、草の根戦術にも力を入れる。支援労組に加え、同世代の友人を足がかりに支持の輪を広げる。立民県連所属の市議とも連動し、運動を加速させる。
全選挙区で自民唯一の女性候補となる前市議の伊藤は、子育て世代にアピールし、浮動票や女性票を集めている。党の組織力を生かした選挙戦も展開しており、市南部のほか勇退者の地盤での浸透を狙う。
梅津は地元の市南部に加えて滝山、西部地区で重点的に遊説を行い、支持固めに努める。県選出の参院議員2人らの応援も得て市内各所で街頭演説を重ね、最終盤に向けた支持の取り込みを図っている。
最後の1議席を争うのは共産新人の石川渉と維新新人の諏訪洋子。それぞれ最終盤の追い込みに懸ける。
石川は他陣営の勢いに危機感を抱き、組織固めに躍起だ。党所属の国会議員や市議と全域で街頭演説を重ね、県都の議席死守を訴えている。政権批判も展開し、非自民層の受け皿として支持獲得を狙う。
元市議の諏訪は地域活動で培ったネットワークを生かし、追い上げを期す。今月3日に党幹事長藤田文武が来援した。今回唯一の党公認候補として「新たな選択肢」をPRし、票の積み上げを図る。
【米沢市区(定数3―4)】現職3人を皆川が追う
自民相田光照、無所属木村忠三、自民渋間佳寿美の現職3人が安定した戦いを進め、新人で無所属の皆川真紀子が追う展開となっている。現職では相田が勢いを見せるものの、一進一退の混戦模様。市街地を中心に、無党派層や公明票の行方が鍵を握りそうだ。
2期目を目指す相田は、市周辺部に構築した後援会の動きが活発化。地元塩井地区を中心に、市北部で戦いを優位に進め、元県議後藤源の一部地盤も受け継ぐ。市議とも連動し、市街地で票の上積みを図る。
6選を狙う木村は父の元県議莞爾からの後援者、連合系労組、系列市議に元衆院議員近藤洋介が加わった布陣。後援会の高齢化が不安要素だが、知事吉村美栄子との関係の近さを前面に、支持固めに努める。
渋間は3選に向け、自身の後援会に加え、秘書を務めた元衆院議員遠藤武彦の後援者がフル回転する。一部で他陣営の切り崩しを警戒し、地元上郷や南原地区、支援企業などを足がかりに支持拡大に余念がない。
出馬表明が告示直前と出遅れた元市議の皆川は、軽トラックの選挙カーで、小まめに街頭演説を重ねる。反原発などを訴え、非自民層への浸透を狙っている。
【鶴岡市区(定数5―6)】自民3新人、安定の戦い
自民新人の石塚慶、佐藤正胤、菅原一浩の3人が衆院議員加藤鮎子を中心とした自民、公明の組織力を軸に、安定的な戦いを繰り広げており、女性からの支持が厚い無所属現職の今野美奈子が続いている。農業関係者や労組から支援を受ける無所属現職の高橋淳を共産現職の関徹が激しく追い上げており、最終盤にかけて市中心部の浮動票の行方が勝敗を左右しそうだ。
前市議で唯一の40代の石塚は、自前の後援組織を中心に沿岸部の保守票を手堅くまとめ、市街地でも強みを見せる。若さを前面に出しており、子育て世代を中心に全域で浸透できるかが上位当選の鍵を握る。
市商工観光部長を務めた佐藤は地元櫛引をはじめ、元県議で父の故佐藤正光が地盤とした旧市内と温海の保守層に浸透する。旧東田川や温海地域、市街地で個人演説会を開き、票の掘り起こしを進めている。
前市議会議長の菅原は、鶴岡商工会議所専務理事時代のつながりを生かし、企業関係者を中心に票を固めている。終盤に向けて浮動票の上積みを目指し、1日には総決起集会を開いて組織を引き締めた。
今野は市長皆川治の女性支援者らと連携し、教員や市議時代の人脈も活用しながら草の根の運動を展開している。唯一の女性候補として無党派層や女性層の支持を広げており、上位に食い込む勢いを見せている。
JA庄内たがわ出身の高橋は農業のエキスパートとして実績をアピール。地元藤島や支援労組から手堅く集票する一方、旧東田川の一部で切り崩しを受ける。旧市内で票を上積みできるかが焦点になりそうだ。
関は党の地区委員会や市議団などと連動した組織戦を展開する。2期8年の実績とともに政権批判や平和への訴えを重ねているが、広がりは限定的。危機感を強め、新たな支持者獲得に向け精力的に動いている。
【酒田市・飽海郡区(定数5―7)】阿部、混戦抜け出す
現職3人、前職1人、新人3人が激しく票を奪い合う中、無所属前職の阿部ひとみが優位に戦いを進める。ほかは混戦の様相で、立民現職の石黒覚と無所属新人の江口暢子は支持層が重なり、警戒しながら攻防を繰り広げる。自民現職の梶原宗明は農林水産業関係者などへの浸透を強め、自民現職の森田広は6期の実績を強調した戦いを展開。無所属新人の田中斉は地盤の酒田南部を軸に追い上げる。無所属新人の今井和彦は広がりを欠いている。
各陣営は候補者がいない遊佐町に攻め入るが、感触をつかめ切れていない。最後まで予断を許さない状況だ。
阿部は市議時代の所属会派や元県議佐藤藤弥の支援を受けて地盤の新堀、広野地区を固め、酒田市の旧3町や遊佐町で浸透を図る。衆院選に出馬した知名度を生かし、市中心部で無党派層の獲得を狙う。
石黒は連合山形の推薦を受けた。新人候補からの支持層切り崩しを防ぎながら労組票を固める。合併前の旧3町から唯一の候補者であることを強調し、党県連代表として立民への期待票も取り込む。
江口は連合山形の推薦と市議会の出身会派「市政研究会」の支援を受ける。自らの経験から防災や子育て支援の大切さを訴え、地元の亀ケ崎地区をはじめ、市街地で子育て世代などから集票を図っている。
梶原は農林水産業関係者や建設業界の組織を中心に支持固めを図っている。地元東平田地区など酒田市東部の農村地域を押さえながら、保守系の市議、町議と連携した活動で全域での広がりを狙う。
森田は地元の市中心部から出馬した新人への危機感を維持し、企業、建設業などの団体を軸に組織戦を展開する。陣営を引き締めながら、6期の実績を前面に押し出して支援組織の切り崩しを防ぐ。
前市議の田中はこれまで応援し、今回出馬しなかった自民・星川純一の後援会役員会の一部支持を得ている。地元の川南地区では安定した戦いを繰り広げており、他地域にどこまで食い込めるかが鍵になる。
今井は各地域を回りながら政策をアピールするが、浸透し切れていない。
【新庄市区(定数2―4)】佐藤、石川が先行
前市議の新人4人の争いは、組織力で勝る自民の佐藤文一と無所属の石川正志が先行し、戦いを優位に進めている。ともに無所属の叶内恵子と押切明弘は、浮上を懸けて追い上げを図っている。
県議会議長坂本貴美雄から後継指名を受けた佐藤は、PTA会長や新庄青年会議所理事長の経歴から市中心部の40~50代の支持を集める。坂本の地盤升形地区を固めつつ、公明新庄支部との連携を強める。
石川は地元萩野地区など、市周辺部の農業票を手堅くまとめそうだ。市長選に転じる現職山科朝則が全面的にバックアップし、市中心部の農業票も見込む。労組の動きも見え始め、上積みに期待を寄せる。
叶内は市議会で同じ会派だった同僚議員の支援を受ける。個人演説会は開かず遊説を中心に市内を回っている。唯一の女性候補をアピールし、浮動票の獲得を目指している。
押切は選挙カーでの巡回に重点を置いていたが、選挙期間に入ってから戦術を変えた。市内各所で街頭演説を行って施策を訴え、知名度不足の解消につなげようとしている。
【寒河江市・西村山郡区(定数3―5)】自民現新3人勢い
4年前の前回は無投票で、合区の寒河江市・西村山郡として初の選挙戦となった。自民現職の楳津博士がやや抜けだした。ともに自民新人の国井輝明、阿部恭平が続く。ともに無所属新人の橋本彩子、鈴木みゆきが追う展開となっている。寒河江市での攻防が勝敗を左右しそうだ。
楳津は各市町で前回組織した支部を軸に4期の実績を訴え、全域で建設業者などの支持を得ている。特に地元の寒河江市西部や西川町で優位に立つが、新人の切り崩しも受け、引き締めに神経を使っている。
国井は自民小野幸作の後継として、市議会議長の経歴などを生かし、支持を広げている。商工業者らとのつながりから市中心部にも食い込んでいるが、地元の市東部の票固めなどを課題としている。
前河北町議の阿部は、同町唯一の候補者であることや31歳の若さを強調する。町内全域で幅広い業種から着々と票を集めるが、他候補の攻勢も激しさを増している。若者層の取り込みを視野に入れている。
前大江町議の橋本は立民、国民の両県連と連合山形の推薦を得る。勇退の立民松田敏男のサポートを受けて子育て世代などに浸透を図る。知名度不足の払しょくが焦点になる。
前市議の鈴木みゆきは国民県連の推薦、連合山形の支持を得て、知事吉村美栄子のめいとして存在感をアピール。市南部などで一定の支持があり、他地域への広がりを目指している。
【村山市区(定数1―2)】菊池、能登競り合う
2期目を目指す国民現職の菊池大二郎と、自民元職の能登淳一が激しく競り合う展開となっている。13票差で決した前回同様、態度を保留する無党派層への浸透と、有権者の4割を占める大票田・楯岡地区での集票が鍵を握る。
菊池は地元の楯岡を地盤に、前回は食い込むことができなかった河西地域で善戦する。非自民層の受け皿となり、草の根の運動で日を重ねるごとに支持を広げており、無党派層の取り込みを図る。
能登は党組織や市長志布隆夫の全面的な支援、企業のバックアップを受け、保守層を固める。街頭演説を重ね、地元の袖崎地区や農村部で優位に立つ。政権与党の強みを強調し、楯岡で切り崩しを狙う。
【東根市区(定数2―3)】斎藤を高橋、清野追う
新人3人による争いは、非自民票の受け皿となる無所属の斎藤俊一郎が混戦からやや抜け出し、ともに自民の高橋弓嗣、清野康隆が追う展開となっている。8年ぶりの選挙戦だが、盛り上がりは低調。態度を決めかねている有権者も多く、大票田の東根、神町地区の攻防が注目される。
前市議の斎藤は豊富な運動量で全域を回り、地元小田島を中心とした西部地区で優位に立つ。参院議員舟山康江らが積極的に支援し、さらに知事吉村美栄子の支持層とも連動。支援労組も活発に動いている。
前市議の高橋は商工関係者や支援市議らが運動を支える。個人演説会を連日開き、神町、東郷地区などを手堅くまとめている。地元東根地区で支持層の切り崩しに警戒しながら、一層の票の上積みを狙う。
前山辺町副町長の清野は同級生の人脈を中心に支持を訴える。元参院議員岸宏一の秘書時代に培った人脈で他自治体の首長らが支援に駆け付ける。地元東根地区で票を伸ばす一方、他地区への浸透を目指す。