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酒田・飽海、待っていた「その時」 県縦断駅伝・第1日、16年ぶり初日V

2022/04/28 08:26
酒田・飽海の11区夜久幸之助(法大、左)が天童・東村山を抜いてトップに立つ=鮭川村

 第66回県縦断駅伝競走大会(山形新聞、山形放送、山形陸上競技協会など主催)は第1日の27日、遊佐―新庄間の11区間、113.5キロでレースを行い、アンカーで逆転した酒田・飽海が5時間57分00秒でゴールし、16年ぶりに初日を制した。

 序盤から安定したレースを繰り広げた天童・東村山が2位に入った。10大会連続優勝の偉業が懸かる南陽・東置賜は流れをつかみきれず3位。4位以下は上山、寒河江・西村山、新庄・最上、北村山、鶴岡・田川、山形、長井・西置賜、米沢と続いた。

 【評】目まぐるしくトップの入れ替わる激戦の中で酒田・飽海の勝負強さが光った。区間賞は終盤での二つだけだが、主要区間で上位をキープし、つなぎの区間も無難にまとめた。要所を押さえた選手配置で総合優勝争いの主導権を握った。天童・東村山は走りに安定感があった。スタートから中盤にかけての各選手が区間5位以内でたすきをつないだことで8区の快走が生きた。社会人を中心とした分厚い布陣の南陽・東置賜は序盤で思うようにリードを奪えなかったことが誤算だった。

【いだてん】ライバル失速、一気に抜き去る

 虎視眈々(たんたん)とトップをうかがっていた酒田・飽海に「その時」が来た。「ビッグチャンスが来たら仕掛けるぞ」という阿部亮監督の言葉通り、ライバルの失速を見逃さず、終盤で一気に前に出た。全てが思い描いた展開ではなかったが、阿部監督は「それを跳ね返すだけの走りだった」と誇った。

 1区(遊佐―酒田)菅原翼主将(遊佐町役場)の快走で3位につけ、ここから4位以上をキープ。狩川中継所で、トップの南陽・東置賜とはわずか1秒差だった。大会最長の19.6キロを走る8区(狩川―古口)で流れを加速させたのがエースの鈴木亮平(東北エプソン)。一度は60メートルほど離れた南陽・東置賜の背中を粘り強く追って終盤で抜き、天童・東村山に続く1分3秒差の2位でつないだ。

 極めつけは9~11区を担った大学生3人の奮闘だ。9区(古口―升形)五十嵐優貴(大東大)、10区(升形―鮭川)伊藤徹(札幌学院大)の1年生コンビが快走で追い上げ、最終11区(鮭川―新庄)夜久幸之助(法大2年)へ。夜久は下りで軽やかにスピードに乗り、先頭を一気に抜き去った。

 菅原主将が「チャンスがあればトップを狙う」と話すように、余計な力が入っていないことも大きな勝因だ。地元を走る初日に、2006年以来の優勝。菅原主将は「残り2日間も自分たちの力をしっかりと出し、チャンスが来たら勝負する」と闘志を燃やした。

常に上位キープできた

 酒田・飽海 阿部亮監督 常に上位をキープできたのが最大の勝因。最後は大学生3人が頑張ってくれた。初日に優勝すると勢いが生まれる。まずは一番距離が長い2日目をうまくまとめたい。

【ハイライト】細谷、別次元―天童・東村山、上々2位

 山上りの箱根駅伝5区で2年連続区間賞は伊達(だて)じゃない。三つどもえのトップ争いとなった長丁場8区(19.6キロ)で、天童・東村山の新戦力・細谷翔馬(天童市役所)が驚異のパフォーマンスを見せた。従来の区間記録を1分43秒も縮め、ライバルチームの実力者2人を置き去りに。「もっと後ろを離したかった」と涼しい表情で言ってのけた。

 1位と19秒差の3位でたすきを受け、前を行く南陽・東置賜の渡辺清紘(NDソフト)と酒田・飽海の鈴木亮平(東北エプソン)に程なく追い付く。5キロ付近からギアを上げ下げし、冷静に2人の様子をうかがった。2回目の仕掛けに付いてこないと見るや、そのまま1キロ3分程度のペースで突き放し、アップダウンのある後半も勢いは衰えない。「リズムをつかみやすく楽しかった」。次元が違った。

 チームは前回大会で総合6位に甘んじた。この日は1区斎藤真也(天童市役所)からトップと差のない位置を保ち、6区田島駿介(山形大)らの粘りも光った。雪辱を期す個々の奮闘に新たな「大砲」の力が融合したレースぶりに、中村展人監督は満足げ。照準を定める総合3位へ、上々のスタートを切った。

【ナイスラン】南陽・東置賜、それでも3位―爆発力欠き、アクシデントも

 史上初の総合10連覇を狙う大会の初日、南陽・東置賜は最終盤に追い上げを見せたが、12年ぶりの3位でフィニッシュ。小野正晃監督は「どこかでプレッシャーを感じていたかもしれない」と冷静に振り返った。

 ほぼ全区間で上位をキープし、大崩れはなかったが、酒田・飽海や天童・東村山に比べて爆発力を欠いた。序盤の首位浮上まで理想的なレース展開。だが、後続との差は広がらず、小野監督が「負担をかけてしまった」と言ったのは8区(狩川―古口)。ベテラン渡辺清紘(NDソフト)が好勝負を演じながら、最後に脚をつるアクシデントも重なった。

 一方で9区(古口―升形)の光武洋(同)が区間新記録を出し、第2日以降につなぐ猛追を見せた。「10連覇は簡単ではないと分かった」と光武。トップとの差は1分40秒で、小野監督は「十分に逆転できる」と言い切った。

上山4位、満点以上―初日好成績「ここ数年記憶にない」

 ○…前回総合7位の上山が4位に躍進した。斎藤勲監督は「初日の好成績はここ数年記憶にない。満点以上の出来」と驚きの表情を見せ、各選手の粘り強い走りをたたえた。

 チーム全体で安定したペース配分を重視。混戦の序盤は集団に食らいつき、斎藤監督は「目の前に相手がいることで選手のモチベーションが続いた」と振り返った。区間賞こそなかったが、難所の8区(狩川―古口)で主軸の金塚洋輔(上山市役所)が区間3位と奮闘。「守りに入らず、攻めて攻めての精神で走った」とチームをけん引した。

 地元で育った高校生、大学生が力をつけ、斎藤監督は「過去最高のチーム」と強調。長丁場の第2日に向けて「攻めの走りをしたい」と抱負を語った。

北村山、2区で区間新―竹内鮮やか、風になる

 ○…8年ぶりの舞台で見せた走りは鮮烈だった。北村山の2区(酒田―黒森)を担った竹内竜真(NDソフト)だ。5人抜きを演じて区間新記録を樹立する快走。実業団の強豪・日立物流で主力を張ってきた29歳は「チームが盛り上がる走りができたかな」と笑顔で振り返った。

 たすきを受け取った時点でトップとは1分11秒差。前を走る選手が視界に入る状況に「いける」。向かい風の中、力強い走りで順位を押し上げ、レース中盤には南陽・東置賜と酒田・飽海を一気に抜き去りトップでたすきをつないだ。

 悪条件の中で区間記録を15秒更新し「風が強い中で新記録を出すことができ、力が上がっていることを感じる」と成長に手応えを感じている。「見える位置の選手はぶち抜く」と宣言していただけに、秋庭正司監督も「格が違う」と有言実行の走りに舌を巻いていた。

寒河江・西村山5位―「花の1区」エース快走

 〇…「花の1区」で荒井雄哉(山形環境エンジニアリング)が区間賞を奪う快走をみせ、寒河江・西村山が5位の好位置につけた。大役を果たしたエースは「流れを決める大事な区間。本調子でなく不安だったが、チームのためにベストを尽くそうと思った」と充実感をにじませた。

 ラスト5キロで集団から抜け出すと、粘りの走りでトップでたすきをつないだ。「プラン通り、ペース変化に対応できた」と前回の区間記録樹立に続く快走に納得顔だ。「1区で流れをつかみ、その後の粘りの走りにつながった」と志田学監督。荒井は「やれることはやった。次も自信を持ってスタートラインに立ちたい」と意気込んだ。

新庄・最上6位―布陣はまって、地元入り

 ○…地元の大きな拍手に包まれて新庄・最上は6位フィニッシュ。前半で若手が勢いを生み、後半のベテランが奮起する布陣がはまり、昨年の初日から順位を三つ上げた。

 近年は中位を狙える戦力があってもかみ合わず、悔しい思いをしてきたという。板垣新一監督は5区(大山―鶴岡)区間賞の庄司瑞輝(酒田南高3年)を殊勲者に挙げ「目標のインターハイで力を発揮できるように、今大会もう1本をしっかりと走ってほしい」と期待した。

県縦断駅伝

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8区、天童・東村山の細谷翔馬(天童市役所、中央)が先頭集団の酒田・飽海と南陽・東置賜を抜き去る=庄内町8区、天童・東村山の細谷翔馬(天童市役所、中央)が先頭集団の酒田・飽海と南陽・東置賜を抜き去る=庄内町
南陽・東置賜の9区光武洋(NDソフト、右)が区間新記録の走りで10区の塩野憲治(平成国際大)にたすきをつなぐ=升形中継所南陽・東置賜の9区光武洋(NDソフト、右)が区間新記録の走りで10区の塩野憲治(平成国際大)にたすきをつなぐ=升形中継所
ラストスパートをかける上山の8区金塚洋輔(上山市役所)=古口中継所ラストスパートをかける上山の8区金塚洋輔(上山市役所)=古口中継所
2区で区間新記録をマークした北村山の竹内竜真(NDソフト)=酒田中継所2区で区間新記録をマークした北村山の竹内竜真(NDソフト)=酒田中継所
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