数多くある古典落語。生涯を通してやりたい噺はたくさんある。小さい頃から人に笑ってもらうのが大好きで、口を閉じることのなかった私。やっぱり好きなタイプの噺は滑稽噺だ。軽くてひょうひょうとしたバカバカしい落語が大好きなのだ。私が「この噺を教わろう」と思う時は、面白いと思ったからなのは当たり前だが、それと必ず、その噺の登場人物に共感を覚えたから。「あ、こいつの気持ち分かるかも!」と思ってから、噺を教わる。
前座修業時代は、何の芸もないのに自分らしさを出してウケたいという浅はかな、余計な考えは隅にやり、師匠から教わったことを忠実に守って、落語を聞いてもらう空気をつくることが第一でウケるのは二…